近年、「ゆとり世代」と呼ばれる若手社員が、多くの企業に入社しています。
現場では彼らと上司の間に様々なギャップが生じており、一見するとあまり良い印象を持ってもらえていない傾向が強いかと思われます。ゆとり世代がどの様なイメージを持たれていて、なぜその様な傾向になったのかご紹介をします。
自ら考え、行動することが苦手
ゆとり世代は情報化社会の進展と共に育っています。小学校低学年の頃から、インターネットの世帯普及率は年々上昇し、検索すれば多くの事がわかる状況です。その為、彼ら自身も高いITリテラシーを身につけ、情報検索は得意です。
しかし、それに伴い、彼らの思考性は”答え”は、自ら考えるものではなく、”探す”もの、もしくは”選ぶ”ものへと変容してきました。ビジネスの世界でも、ゼロから考えるよりも、「選択肢の中から選びたい、早く効率的に答えを見つけたい」と考える場合が多いと言われております。
自分が好きなことをやりたい願望が強い
ゆとり世代が小学校に入学する1992年度から「新しい学力観」が提議されました。生徒の自主性を尊重し、学習のプロセスや変化への対応力を重視するという考え方です。授業では、生徒が関心を持ったテーマを追求させる方法、環境づくりが求められました。
また、現在ビジネスの世界ではIT化をはじめとする生産性の向上が進んでいます。彼らも「関心がなく、無駄と思える事はやらないほうがよい」という価値観が潜在的にあります。
そのため、上の世代から見ると、「仕事を選り好みする」「下積み的な仕事をやりたがらない」と見られることがあります。
自己成長への強い焦燥感を持つ
ゆとり世代は、バブル崩壊をした右肩下がりの日本経済の中に育ってきました。大手金融機関の破綻による、親世代のリストラや、兄・姉世代の採用不況という厳しい現実を間近で見てきた世代です。
終身雇用制度は崩壊している事を目の当たりにしたからこそ、潜在的に自身の市場価値を高めなければいけないという焦燥感を抱えています。彼らが会社に期待することが「自らの成長機会」であることも、このような背景からきています。
上記のように、彼らに見える特徴は、ゆとり教育や社会環境が複雑に絡み合い生じていることです。安易に「ゆとり世代」というレッテルを貼るのではなく、その要因を多角的に捉え、彼らを理解することで、彼らにどう向き合っていくべきかが必要です。
ゆとり世代の活かし方、戦力化するためのアプローチ方法
ゆとり世代の各個人の性格・能力は異なるので、ひとくくりでまとめるのは難しいです。ですが、下記の内容は採用のベースとなる事項ですので、参考にしてもらいどのように進めるべきかヒントにしてください。
学生時代から社会人水準へのマインドセット
彼らには上記のような環境、時代背景からつくられた彼らなりの基準・水準があります。まずは、学生時代の意識から早く脱却させ、社会人としての意識付けをする事が大切です。
彼らの自己成長意欲を刺激し、「組織で働くとは」ということが理解できれば、彼らの高い処理能力や理解力、得意なITスキルを活かし、即戦力ともなるでしょう。
受け入れる側の職場環境・指導アプローチの見直し
これまでゆとり世代側の特徴を述べてきましたが、本質的で解決すべき問題は、職場環境にもあると考えています。ITの発達や、アウトソーシングにより、難易度の低い仕事は職場から減少しています。
新入社員がビジネス社会に適合できる基礎の積み上げ的な仕事や、小さな挑戦ができるような環境はあるのか見直す事が必要です。どんな世代でも、人は急には成長しません。成長するためにどのような環境が必要なのか、職場にそれがあるのかを見直してみましょう。
最後に
指導アプローチとして「背中を見て育て」は残念ながら通用しません。効率的に早く成長したいというマインドの彼らだからこそ、「社会人として育つ」ためのプロセスを一から教える事が、彼らを戦力化するため必要な事だと考えます。