日本の中枢を支える国家公務員として官僚という職種があります。主に、各省庁に勤めて、日本の仕組みを作る仕事です。官僚というと「エリート」のイメージが強い人も多いと思います。官僚は公務員で楽な仕事と考えてる人もいるかもしれませんが、実業は非常に激務で大変であると知っていますでしょうか。今回は、日本のエリートである官僚が、どうして激務になるのか、官僚の仕事や残業時間、給料面について説明します。
官僚の仕事って?
そもそも官僚はどの様な仕事をしているのでしょうか。仕事内容が分かれば残業時間や給与がわかると思います。以下3つは基本的な官僚の仕事内容です。国会で使う法案の作成はもちろんなのですが、人事などカバーする領域は大きいです。
法案の作成
官僚は法律の立案を実行します。まず、法案の原案を作成し、省の幹部による省議によって決定されてから、各省庁の事務次官等会議→閣議まで進み、提出するかどうかが決まります。
予算案を作成
内閣府で基本指針が明確にされた予算を、財務省主計局が各省庁について予算の細部まで審査し、国会に提出します。
人事担当
各省庁の事務次官は、国家公務員の人事係を担当します。政策の企画・施策も法案や予算、重要要件の指揮・監督の政策の企画や施策もおこないます。
官僚は2つある?
- キャリア官僚
キャリア官僚とは、主に中央省庁で勤務する人のことを指します。国家公務員の総合職試験に合格し、中央省庁で採用されている人です。非常に難易度の高い試験で、多くの出身者は東京大学生が多いのが特徴です。また、一般職試験に合格して、中央省庁にいる人もいますが、この人たちはノンキャリアと呼ばれ、キャリア官僚ではありません。
キャリア官僚は、出世の早さが約束されていることもあってか、ネットなどで調べるとかなりの激務と記載があります。部署をひんぱんに移ることも多く、20代のうちからハードワークを課せられることが多い様です。残業も当然のようにあり、夜中まで仕事というのもめずらしくはありません。
- ノンキャリアの官僚
ノンキャリア官僚は一般職試験に合格をした、中央省庁にいる公務員のことを示します。ノンキャリア官僚は出世は遅めであるものの、同じ職場である以上やはり激務です。なので一般的な公務員とはだいぶ違うようです。
官僚が激務なのは何故?
官僚が激務なのは、国会への対応や予算要求に関わるからです。また、国防のことなど突発的な仕事も多く、予想の範囲内で対応をするのが困難で残業が発生しがちです。
特に国会の会期中は残業がひときわ多く、帰宅は夜中3時なんていうこともざらにあるようです。国会で重要な審議があれば、官僚の忙しさもその分増加します。勤務している省庁関連の審議が行われていれば、自ずと遅くまで対応をせざるをえません。
また、重大なポストにある官僚は、法案作成にも対応するため、激務になることはいうまでもありません。上に行くことは嬉しいことでもありますが、同時に激務になる仕組みになっており、少しばかり矛盾を抱えそうですね。
官僚の残業は国会次第?
自分が勤めている省庁と、あまり関係のない法案の審議ならば、審議がかさねられていても、激務というほど多忙になるわけではないのです。時期によりますが、定時で退社することも可能です。前途で記載をしていますが、官僚の残業が多くなるかいなかは、国会の動きに大きく関係するといえるでしょう。
また、官僚は激務にもかかわらず、給料がそれほど高くないという話もあります。それはどうしてなのか以下に補足説明を記載します。
時間外手当がない
残業時間がそれほど多いのなら、時間外手当がついて、さぞかし給料は高くなるのでは、とつい思いがちですが、これも違っているようです。公務員だからきっちり残業代は出るのでは、とイメージを抱く方も多いですが、官僚には時間外手当は支払われないのです。
実際はまったく支払われないということではありませんが、上限が決まっており、残業代はある一定の金額までたっすれば、それ以上は加算はできず、何十時間も多く勤務しても時間外手当は変わらないのです。
残業・時間外手当は、労働基準法によってさだめられていますが、国家公務員には労働基準法は適用されないのです。
官僚の給料面について
官僚の給料はどのようになっているか紹介をします。各省庁や勤務年数、職務成果によっても金額は大きく違ってきますので、一概にはいえないのがむずかしいところですが、いくつかの例を見ていくことにしましょう。
厚生労働省職員の場合
係員で在職期間は3年未満、新卒で入省の男性。年収は2年目で350万円
「やはり残業代は一定額以上はつかない。自分が所属する部署が、予算を多く持っているかどうかで残業代の支給のされ方も違うため、不公平を感じる」という意見があるようです。
財務省職員の場合
係員で在職期間は3年未満、一度やめて再度中途入省の男性。年収は通算7年目で500万円
「人事評価は、公務員として一律のものを使っている。あまり低い評価がついたという人は聞いたことがない」という意見もあるようです。
官僚は激務が理由で退職もある?
官僚で働く人が、どのくらいの割合で離職しているかについては、明らかなデータは残念ながらありません。一般職の国家公務員については、離職状況を毎年人事院が調査をおこなって発表していますが、キャリア官僚に関してはくわしいことがわかっていないようです。
初年度でやめてしまう人もいれば、長いあいだ勤務して離職する人もおり、ケースはさまざまですが、激務とされる職業の上位にランクインしていることからも、激務が理由で官僚をやめる人も決して少なくはないでしょう。以下は官僚に関わる情報です。
若手官僚は過労死しやすい職業第4位
あまり喜ばしいデータではありませんが、若手官僚は過労死しやすい職業の4位にもなっています。国を背負って立っている重大な責務のあるキャリア官僚は、仕事量も大変に多く、体調をそのために崩してしまう人も多いのです。
ある元官僚によれば「残業は月に130時間」「ひまな時期はまったくない」「眠る場所はいつもデスクの上や仮眠をとる程度」とのことで、壮絶な職場であることが想像出来ます。
若手官僚が転職するケースが増加
現在若手の官僚が退職して新しい職場に移るというパターンも増加しています。官僚といえば「天下り」の言葉も耳にし、70歳くらいまでは働いて面倒を見てもらえるという感じでしたが、今は違います。
心身ともに負担の重い官僚というポストを捨てて、ベンチャー企業で勢いのあるところに転職する人、あるいは自分でビジネスを立ち上げる人もいるようですよ。
官僚の過労死は多いの?
国家公務員の労組団体の発表では、2014年3月、2754人の官僚に残業についてアンケートをおこなった結果、「現在、過労死の危険を感じている」また「過去に感じたことがある」と答えた国家公務員は、30.4%にものぼったのだそうです。これはなかなかの数字の高さと考えられます。
官僚の中には、月の残業時間は200時間以上にもなるという人もおり、判例では、過労死認定の残業時間のラインは月80時間以上ということですから、それをはるかに超過していることも判明します。
最後に
官僚に向いている人はどんな人でしょうか。以下に参考になりそうなことを記載しましたので参考にしてください。
国に役立ちたい気持ち
官僚に向いている人は、どんな人でしょう?「国のために役に立ちたい」という強い気持ちや情熱がある人が、まずは適性があるといえるでしょうね。
官僚は一般の方々と交流するチャンスもそれほどないので、「ありがとう」などと感謝してもらうこともありません。それでもコツコツ地道にがんばれる縁の下の力持ち的なタイプの人が向いているでしょう。奉仕精神に富み、周囲の期待にこたえて成果を出せる人も向いています。
バランス感覚
官僚の仕事は、国会議員や業務団体などのいろいろな立場の人の意見を取り入れて、みんなが納得いくように落としどころを見つけることも大事なポイントです。周囲の人たちの意見を上手に調整する役割でもありますね。
自己主張が強い人より、バランス感覚にすぐれた人、こだわりを持たずに仕事できる人が向いている職業です。
体力勝負のハードワーク
ずっとお話ししてきたとおり、残業時間も多く、激務をこなさねばならない官僚は、心身ともタフでハードワークを乗り越えていける力も必要です。専門性が高い仕事ですから、日々勉強も要りますね。同僚も優秀な人が多いので、おたがい切磋琢磨して、自分を向上できる仕事でもあるでしょう。ハートも強く、体力にも自信がある方・勉強熱心な方は、ぜひとも経験をしてみてください。