15歳以下なのに子役が働くことができる仕組みについて紹介します。
あるサイトの質問です。
僕は現在、中学生です。
お小遣いが少ないので、親にアルバイトをしたいと言ったら「16歳以上にならないとアルバイトをすることが出来ない」と言われました。確かにネットでアルバイトを探してみても募集年齢は最低でも16歳だし、僕の周りでアルバイトをしている友達もいません。
しかし、芦田愛菜さんや鈴木福君や本田望結さんなど、子役として活躍している子供は仕事として働いていますよね?なぜ、一般の小学生や中学生はダメで、テレビに出ている俳優は仕事をしていいのですか?
この文章を読んでいると確かに不思議な内容のような気がします。今回は、何故、芦田愛菜さんや鈴木福君は働く事が出来るのか、その仕組みについて紹介をします。
子役の労働は法律で保護されている
労働基準法により、原則として満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了する(義務教育終了)まで、賃金を貰って仕事をすることができません。
その為に、質問者さんの親が言っていることは正しいです。
但し、例外的に下記の条件を満たせば満13歳以上であれば就業可能です。
- 非工業的事業で軽易な作業
- 健康や福祉に有害では無い
- 使用者(会社)が労働基準監督署長の許可を得ている
- 残業、休日出勤、深夜勤務が無い
非工業的事業で軽易な作業に挙げられる仕事の一例として、新聞配達や倉庫内での軽作業、建築現場での建築や解体補助などが挙げられます。
芦田愛菜さんって13歳より下じゃない?
芦田愛菜さんの年齢は2014年度で10歳です。更に、安達祐実さんは0歳から子役として活躍しています。満13歳以上であれば例外的に働けるって言いましたが、これだと矛盾しています。
映画の製作又は演劇の事業は例外的に認められる
労働基準監督署長の許可を得たとしても満13歳未満の労働は原則禁止されています。
しかし、映画の製作又は演劇に関わる仕事をしている子供(要は子役)であれば、満13歳未満でも労働させることは可能です。
ただ、子供の負担を考えて、修学時間と労働時間を合わせた時間が1日7時間、1週間で40時間を超えてはいけません。
また、労働できる時間は、5:00~20:00(厚生労働大臣が必要と許可された場合は21:00)までと決められています。紅白歌合戦などの生放送や舞台などで子役が途中で退席するのも、このルールを守っているからです。
他にどんな事が注意点としてあるの?
労働基準法の義務教育終了前の演劇子役の就労についての注意点によると以下の記載があります。
- 児童は、修学時間外においてのみ、使用することができます。
- 児童の労働時間は修学時間を通算して、1日について7時間、1週間について40時間を超えてはならない。労働基準法第60条第2項
- 賃金は必ず児童本人に支払われるようにしなかればならない
- 保護者の送迎が行われるように努める配慮が必要
もし、子供のギャラを親が勝手に使うとどうなるの?
子どもが稼いだギャラを、親が財産管理の権限を濫用、ないしは逸脱して自ら費消したり、子どもにとって不利益に処分したりすると、財産管理権を失ったり、子どもから損害賠償請求を受けたりすることもあります。
更に、子どもが多額のギャラを取得すれば、税金や社会保険との関係でも、子どもは親の扶養から外れることになり、親が被扶養者の要件を満たせば、子どもの扶養に入ることもあります。
しかし、実際には法律と矛盾している点もある?
冒頭で、修学時間と労働時間を合わせた時間が1日7時間、週40時間と言いましたが、このルールを厳守すると、中々子役の撮影や稽古などがスムーズにできません。その為、実質的には子役の長時間労働がこっそり認められているケースもあります。