伸びているベンチャーに必要な人とそうでない人について紹介します。
ベンチャー企業、スタートアップと呼ばれる、創業間もない小さな会社は、上手くいくか上手くいかないか常にギリギリのところで事業を行っています。そのように事業の成長を模索する中で、企業にとって欠かせないのが、一緒に働いてくれる仲間です。
一緒に苦楽をともにする仲間なので、慎重かつスピード感を持って参画してくれるヒトを求めることになります。無名の自社を苦労して見つけて、連絡をするような方に悪いヒトがいないのではと思うが、その人材をいざ採用に結びつけると恐ろしい事態を引き起こすこともあります。
最初は、その存在自体が特に目立つということはないが、徐々に徐々に、そのヒトの思想や熱量が、社内の人間へ影響を与え始め、気が付くと取り返しのつかない状況になって行きます。そして、そのヒト本人がいなくなっても、その毒は直ぐには消えず、社内に残ります。
頭の良いヒトの落とし穴
頭の良い・悪いというのは、学歴やキャリア、様々な要素から一般的には見られていると思うが、ここではいわゆるシンプルに“頭の回転が早い”として話を進めたく思う。頭の優劣だけで考えて採用する場合ならば、スキルがある頭の良いヒトの方が良いです。圧倒的に優のヒトが採用されるはずです。
ここで、もう一つの軸として、対象事項に対して楽観的に捉えるヒトと、悲観的に捉えるヒトの２つに分けてみる。よく慎重派や橋を叩いて渡るタイプなどと言われるが、慎重というよりも、「悲観的に捉える」という表現の方がこの場合はより適切と言える。
４つのマスができて、改めてこの表を眺めた時に、最初の話題を思い出し、「邪気がある」・「無邪気である」という２つの比喩表現を「楽観的」・「悲観的」という言葉に対応させると採用すべき順位が見えてくる。
採用すべき順位は以下である。
１―頭が良く、楽観的なヒト
２―頭が悪く、楽観的なヒト
３―頭が悪く、悲観的なヒト
４―頭が良く、悲観的なヒト
頭が良く、楽観的なヒトはもちろん仲間として申し分ないです。そういう方は、逃さず即採用しましょう。次に採用したいのは頭が悪くても楽観的なヒトです。ここで注意して欲しいのが仲間にすると最も危険なのが、［頭が良くて］［悲観的な］ヒトです。
[頭が良く、悲観的なヒト]（Aさん）を採用する一番の怖さは、周囲への波及効果です。Aさんのまわりにいる多くのメンバーが、大きな影響を受けます。Aさんの発した何気ない悲観的な憶測を直に受け取るため、そのメンバーは、成功するかしないかギリギリのラインにあるサービスや新機能などを、悲観的に捉えてしまいます。Aさんの悲観的な見方や意見が社内に蔓延してしまうことが問題なのです。
[頭が悪く、楽観的なヒト]の場合は、ほぼ誰も耳を貸さず、ないしは、耳を貸したとしても、「まあそういう視点もあるかもね」と軽く受け流され、メンバーやスタッフへの影響も非常に軽微で済みます。また、仮に失敗しても、ネガティブな感情を引きずらなくて済むのです。
本質を見極める期間を設ける
恐ろしいのは、[頭が良く、悲観的なヒト]はほぼ無自覚であり、悪気は一切ないことです。そのため、ある程度後になってみないと、誰が悪かったのか、その時にどう対処すべきだったのかが分からないです。そこで、じっくりとそのヒトの本質を見極めなければならないと思います。ここでは、いくつかのポイントを紹介しましょう。
・社内の主要ポストに転職して直ぐのヒトを当てはめてはいけない
ある程度の期間をともに過ごすことでそのヒト自体の本質が見えてきます。本質が分からないまま、影響力の強い主要ポストに当てはめてしまうと、取り返しのつかないことになります。
また、いきなり部下のような人員を下に付けてはいけません。社内で情報が分断されることとが起きます。そのため、まずは3～６ヶ月程度、試用期間のようなものを設けて状況を見るのがよいと思います。
・会社の役員だけでなく、複数のメンバーからも、人となりを確認する
立場の違うヒトに対して、発言や姿勢が異なるというのは注意が必要です。そのため、社内で接点のある複数の立場の方から、そのヒトの情報を集めて、本当に一緒に働ける人かどうかを見極めましょう。
SNS内に不平不満や社内の問題をシェアするルームを作り、経営陣の役員に対しての不満や文句の声を上げる環境を生み出す予兆があれば、見逃してはいけません。このような予兆や行動は、見つけ次第すぐに対処する必要があります。
たった一人、［頭がよく悲観的なヒト］が加わるだけで、どれほど事業が、そして、ベンチャー企業としての勢いが削がれてしまうかと考えただけでも非常に怖い話です。業務への直接的な人員補強という点だけではなく、影響の波及効果まで考えて採用を検討してください。