いい資料ってどうすればいいの?

資料の作り方や考え方、事例などについて紹介します。

外資系コンサルティング会社の資料を目にしたことはありますか。コンサルティング会社がクライアント向けに作る資料は、そのクライアントのために、情報を集め、分析し、資料としてまとめたものであって、めったに見られないです。クライアントの会社内でもプロジェクトチーム以外の人の目には触れないケースも多々あります。そのため、資料そのものを見たことがあるという人はかなり限定されるはずだ。

クライアント企業の将来を左右するような意思決定に繋がる資料とはどのような資料か、また、外資系コンサルティングは、質が高い資料を24時間でも作れることができて、速さと質を両立させることが出来るのかなど、外資系コンサルティングの資料作成術の他社との違いや優れている点などについて紹介します。

 

三位一体で資料を作る

質の高い資料が作られるポイントとして、複数の、資料作成のカテゴリごとのプロがかかわっていることがあります。過去にあった事例として、外資系コンサルティング社では、資料はコンサルタントがひとりで作り上げるものではなく、資料の元となる情報の収集にはリサーチャー、資料の作成・仕上げには専門のスタッフが参加して、三位一体で作り上げられていくことがあった。

コンサルタントが情報収集を全く行わない、資料も自分では1ページも作らない、ということではありません。自分たちで情報も集めるし、資料も作ります。しかし、コンサルタントの本分はあくまでも情報を分析・検証してクライアントの課題に対して解決策を示すことであり、それに集中することができるように、プロに任せるという仕組みになっています。

リサーチのプロが情報を集めれば、コンサルタントはムダな情報の分析に時間を取られたり、間違った情報で翻弄されたりすることはありません。資料作成のプロがスライド資料を作れば、短時間でよりわかりやすく説得力のある資料ができます。その道のプロがかかわることによって、限られた時間の中でも質の高い資料が作られていくのです。

 

見た目だけでは価値ある資料はできない

個人でも、コンサルティング会社のような質の高い資料を作りたいときに、考える事としてコンサル的なモノの見方や考え方を取り入れることと思います。問題解決思考やフレームワークに関する解説や書籍は巷に溢れており、使えるものも多くあります。

また、最近では資料のまとめ方や見栄えも注目されています。PowerPointが誰もが簡単に資料を作れるようになったので、「もっと美しく説得力のある資料が作れるのではないか」と考える人も多いようです。フレームワークなどにある程度慣れ親しんで使いこなせる人が増え、見た目が重要と考えている人も多いかもしれません。

しかし、フレームワークが使えて、美しい資料が作れたとしても、肝心の中身が伴っていなければ意味はありません。元となる情報が間違っていたり、必要十分な情報がきちんと集まっていなかったりしては、質の高い資料にはなりえないのです。

素早く質の高い資料を作るのには、実は土台となる情報が重要です。情報は簡単に手に入ると思っていたけれど本当に必要な情報が手に入っていないのではないか、と気付いた人が増えています。事実、「情報収集」をテーマにした研修や講演を行うと、たくさんの参加者が集まるようになりました。

 

どんな情報が必要か?それはどこにありそうか?

ビジネスの基本姿勢のひとつはPDCAサイクル(Plan/Do/Check/Action)です。これは情報収集も同じです。どんな情報でもネットで簡単に検索して引き出せると考えていると、まずは検索 = Doとなってしまうが、ビジネスプロセスにおいて、きちんとしたプランを立てなければ効果的なアクションに結び付かないように、情報収集においてもプランニングなくしては、ムダな情報をたくさん集めてしまったり、余分な時間を費やしたり、間違った結論を導き出してしまいます。情報収集のプランニングとはどういうことでしょうか。以下に実際の事例を書いてみました。

 

スマートフォン購入分析事例

皆さんが、スマートフォンを買い替えようと考えたときを例にしてみます。スマホを買い替えようと思ったとき、どういう行動を取ると思いますか。

①販売店に行ってパンフレットをもらってくる

②最近買い替えた友達に話を聞く

③ネットで新機種の評判をチェックする

④キャリアの変更もあるとしたら……量販店でいろいろ見比べる

⑤格安スマホの実態をネットで検索

買い替えを考える背景には、もうすぐ2年になるしそろそろかなぁと漠然と思っているとか、毎月スマホにかかるお金がかさんでいるので、なんとかもう少し安くしたいと思っている、iPhoneにしたい、など人それぞれの人に多種多様な理由があると思います。そして、その事情に応じて、自分が欲しい情報がどうやって・どこで手に入る(入りそう)かということを、誰もが頭の中で、想像しています。その上で、実際に販売店に行ったり、ネット検索をしたりという情報を得るための行動が起こされているのです。

この、自分の欲しい情報がどうすれば手に入るか、というのが、情報集めのプランニングなのです。スマホの買い替えのような普段の生活シーンにおいて、プラン立てをしていると意識することはまずないと思います。しかし、数多あるスマホに関する情報の中から、自分が買い替えるにあたって重要な情報は何かを絞り込み、それはどうすれば手に入るのかを考えているからこそ、まず販売店に行ってパンフをゲットする人もいれば、ネットの新製品情報チェックから始める人もいるし、またある人は格安スマホにしたという友人に話を聞く、というように、同じスマホの買い替えという最終目的に対して、人それぞれ異なる行動を取ることになるのです。

 

最後に

ニーズに応えるためには見知らぬ情報も調べましょう。情報集めのプランニングとは、具体的にどのような情報をどうやって手に入れればよいかを考えることです。しかし、それができるのは自分が知っている業界や、少なくともニュースなどで見聞きしたことぐらいはある商品についてではないでしょうか。実際には、そのモノ・業界が全くわからず、何をすればいいのやら見当もつかないという場合も多いはずです。

最先端であまり知られていない商品やサービスはもちろんのこと、自分の仕事や会社に全く関係がなく地球の裏側のことのように感じられる業界について、情報集めのプランニングをせよと言われても、何を調べればよいのかさえ想像がつかないと思います。しかし、ネジを作っているメーカーが農業へ進出するかもしれないし、スーパーマーケットが宇宙旅行を計画するかもしれません。どこから、どのような情報ニーズが出てくるかはわからないのです。このように1つのことだけから事実を考えるのではなく、複数の動きや流れから見つけることがいいと思います。