山手線の自動運転導入とは

2017年の課題の1つとして「人手不足」が社会的な問題となっています。今年の7月3日に日本商工会議所が発表した「人手不足等への対応に関する調査」では、「人手が不足している」という回答が最も多かった業種は宿泊・飲食業、次いで、運輸業、介護・看護、建設業などが続いています。

このような背景から、人手不足により事業拡大が出来なくなることや事業継続の問題に繋がり兼ねないこの事態を避けるために、JR東日本が鉄道への自動運転の導入に着手しています。すでに、2010年から自動ブレーキ機能を導入して自動運転に向けた一歩を踏み出していますが、発進・加速・急ブレーキなどは運転手が操作しているのが現状です。

今回は、JR東日本が自動運転に踏み切った背景の詳細や現在の自動運転における課題はどのようなものがあるのか、課題に対する企業の取り組むべき姿に関してご紹介をします。

 

自動運転に踏み切った背景

JR東日本が自動運転の検討を初めた背景には、運転手・車掌の乗務員の減少があります。国鉄末期からJR発足初期にかけて、10年ほど乗務員の採用を行っていませんでした。その為に、17年4月時点でJR東日本の年齢構成は以下となっています。

55歳以上 14,190人
50~54歳 4,400人
45~49歳 1,990人

同社の定年は60歳となるので、今後5,10年に渡りベテランの乗務員の減少が想定されますことや今後入社する社員が技術を身につけるのにも時間がかかると考えられる背景などがあります。このように、乗務員の減少・技術取得の為の必要年数を加味した事、そして自動運転導入による自動運転による運行ダイヤの正確さの向上の観点から、同社は自動運転に踏み切りました。

 

自動運転における課題

ご存知の方も多いと思いますが、自動運転導入には課題が多くあります。私達が電車を利用する上で、線路に車・人の進入・障害物の落下により、遅延した事を経験したことがあると思います。これらは、運転士が目視、線路脇の信号機を確認して、ブレーキをかけ対処していました。

自動運転の際は、これらを防ぐのに、線路周辺にセンサーを設置して異常を感知するだけでなく、異常を感知した後に、車両にブレーキをかける事を伝える仕組みが必要となります。すなわち、自動運転導入の為には、技術面とコストの問題が伴います。改良の余地やコストを伴うためにすぐの導入が難しいのです。

 

課題に対して取り組むべき企業の姿

課題に対して、JR東日本だけでなく、鉄道のバリューチェーンを参照とすると、以下のような企業の協力が必要となります。

1. 線路計画・用地買収

国・地方公共団体・鉄道会社(一部抜粋)

・東急電鉄株式会社

http://www.tokyu.co.jp/

・東日本旅客鉄道株式会社

http://www.jreast.co.jp/

 

2. 土木工事・軌道敷設

鉄道工事企業(一部抜粋)

・東鉄工業株式会社

http://www.totetsu.co.jp/

・第一建設工業株式会社

http://www.daiichi-kensetsu.co.jp/

 

3. 車両製造

鉄道車両企業(一部抜粋)

・日本車輌製造株式会社

http://www.n-sharyo.co.jp/

・HITACHI

http://www.hitachi.co.jp/

 

4. 信号通信・設備設置

信号・交通機器企業(一部抜粋)

・日本信号株式会社

http://www.signal.co.jp/

・古河電気工業株式会社

https://www.furukawa.co.jp/

 

5. 運行・メンテナンス

・東急電鉄株式会社

http://www.tokyu.co.jp/

・東日本旅客鉄道株式会社

http://www.jreast.co.jp/

 

自動運転の実現に向けて役割が異なっており、これだけ多くの企業が関わってきます。このような背景からも簡易的にものを進めるのが難しいようです。

 

最後に

自動運転導入の課題としては、線路のセンサーと車両のセンサーを紐付ける事が必要となります。すなわち、Iotなどの最新の必要となります。バリューチェーンの1社のみでなく、全ての企業が最新の技術基盤を早期に確立し、協力しあう事が自動運転の早期導入に繋がると考えられます。