プロ棋士の年収は?

中学3年生のプロ棋士、藤井聡太四段の活躍で注目を集める将棋の世界ですが、プロ棋士の世界についてよく知らないという人も多いと思います。今回は、「プロ棋士」に関して紹介します。

どうやったらなれるの?

藤井四段は、去年10月、史上最年少の14歳2か月でプロ棋士となりました。プロ棋士になるには、まず、日本将棋連盟が主宰する「奨励会」という棋士養成機関に入るのが一般的です。

奨励会に入るには、師匠にあたる四段以上のプロ棋士の推薦を受けるか、日本将棋連盟が主催する小中学生の大会でベスト4に入るなどの条件を満たしたうえで、いずれの場合も試験を受けなければなりません。奨励会に入ると、その後、成績に応じて、「6級」→「5級」→「4級」…「1級」→「初段」→「二段」→「三段」と上がっていきます。

そして、年に2回行われる「三段」のリーグ戦で上位2人に入ると「四段」になり、「プロ棋士」として認められます。

このほか、プロ棋士から推薦を受けたアマチュア棋士がプロ棋士を相手に対局を行い、5対局中3勝するとプロ棋士に昇格する、という道もあるそうです。

 

どうやって“実力”を示すのは?

プロ棋士の「段位」は「四段」から「九段」まであります。プロ棋士として60年以上活躍し、今月、現役引退となった「ひふみん」こと加藤一二三さんは、最高位の「九段」です。段位は、日本将棋連盟の「昇段規定」で定められた成績をあげることで上がっていきます。

藤井四段の場合、例えば、竜王戦の予選として行われる「ランキング戦」で連続して2回昇級すれば、「五段」に昇段します。また、公式戦で100勝した場合も「五段」になります。竜王戦の決勝トーナメントを勝ち進み、タイトルの挑戦者になれば、一気に「七段」まで3段飛びで昇段することもできます。

ちなみにこの「段位」は、一度昇段すれば、その後、成績が振るわなくても下がることはありません。棋士の実力を示すものには、このほか「順位戦のクラス」もあります。「段位」と違って成績に応じて上がったり下がったりするので、「そのときの実力を示す指標」と言えます。

これは、タイトルの1つ「名人戦」の挑戦者を決める「順位戦」を通じて位置づけられます。上から「A級」、「B級1組」、「B級2組」、「C級1組」、「C級2組」と分けられます。「A級」は160人いる現役のプロ棋士の中でも原則10人しかおらず、「トップ棋士の証」といえます。

 

賞金はどこから出るの?

主催する会社などが賞金を出すことが多いです。タイトル戦のうち、例えば「竜王戦」は読売新聞、「名人戦」は朝日新聞と毎日新聞、新たにタイトル戦となった「叡王戦」はドワンゴがそれぞれ主催し、賞金を提供します。

優勝したときの賞金の額は、公表されている竜王戦の場合、4320万円にのぼります。

 

タイトル以外での棋士の収入は?

賞金以外にも、主催社から「対局料」が出されます。竜王戦の決勝トーナメント、6月26日の藤井四段の対局料は46万円で、対戦相手の増田四段が52万円となっています。勝ち進んで挑戦者決定戦までいくと、450万円まで上がります。

しかし、トーナメントは一発勝負です。

棋士にとって大切なのは、地方などで行われる「指導対局」の講師料、イベントの出演料など。また、棋士の中には自分で将棋教室を開いている人もいて、その授業料などが収入になるということです。

ちなみに、対局料と賞金の合計で去年、最も稼いだのは羽生善治三冠で、その額およそ9,000万円。次いで渡辺明二冠で、およそ7,000万円だということです。